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継承語としてのポルトガル語

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当塾のポルトガル語講座(こうざ)は、基本的に日本人を対象とした外国語(がいこくご)としてのポルトガル語レッスンです。

ただ日本に暮らしているブラジル人の中には、幼くして来日した子供や日本で生まれた子供たちに、ブラジル人としての意識や誇り、価値観を持ち続けてもらうために、ブラジルのことば(=ポルトガル語)を教えようという動きがあります。

家ではポルトガル語を話しても、日本で暮らしている以上、当然日本語を使う機会のほうが多くなりますよね。そのまま放っておいたら子供たちはポルトガル語を忘れてしまうかもしれません。

このように自分たちの国の文化やアイデンティティーを受け継ぐことを目的として教えるポルトガル語を、「継承語(けいしょうご)」としてのポルトガル語教育といいます。

継承語(PLH)とは?

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継承語は、ポルトガル語ではPortuguês como Língua de Herança(PLH)と訳されます。意味は、読んで字のごとく。受け継ぐべき言語としてのポルトガル語という意味ですね。受け継ぐというのは、お父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんから受け継ぐということです。

ところで継承語なんて単語ははじめて聞く人でも、「母語(ぼご)」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?母語というのは、生まれて最初に覚える言語で、その人にとって一番使用頻度(ひんど)も高く、もっとも自由に使えることばだと説明されます。日本で生まれる日本人にとっては、ほとんど100%日本語になりますし、ブラジルで生まれるブラジル人にとっては当然ポルトガル語になります。

問題は外国で生まれる子供たちや幼少期(ようしょうき)に移住して外国で成長する子供たちの場合です。

たとえばブラジルで生まれた子供が、2歳で日本にやってきたとします。もちろんその子にとって母語はポルトガル語です。お母さんのお腹にいるときからポルトガル語の子守唄を聞いてきました。しかし日本の保育園に入園すれば、友達や先生とは日本語で話すようになります。子供たちは一日の大半の時間を保育園や小学校で過ごすわけです。物心つくころにはどんどん日本語を覚え、自分を最もよく表現できることばは日本語になってしまいます。逆にポルトガル語は両親との日常会話程度で、読み書きなどはできません。果たしてこういう場合にも、その子の母語はポルトガル語だといえるのかどうかという問題です。

たしかに母国ブラジルの言語(母国語)、生まれて最初に覚え始めたことばという意味ではポルトガル語ですが、実際には日本語のほうが得意で、ほとんどポルトガル語を話せない人にとっては、ポルトガル語が母語だと言われても中身を伴っていないように思われます。では日本語が母語になるかというと、これはこれで文化的背景も含めて根が浅いと言わざるを得ません。

こういう複雑な現状をより正確に表現するのに、ポルトガル語を「継承語」、日本語を「現地語」と呼ぼうという提案があります。これはなかなかうまいアイデアですね。「現地」という言葉には「差しあたって今いるところ」というような、どことなくよそよそしい響きがあります。逆に「継承」には、本当の心はこっちにあるのだ、何とかそれを受け継ぎたいのだという強い気持ちが感じられます。

つまり継承語とは、ある言語を母語とするには十分な実態を伴っていない状況で、そのままではよくない、母語やそれに付随する文化を継承したいという積極的な意志を込めて登場してきた言葉だといえます。

 

 

 

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